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2019年01月23日

◆ 吉田松陰の留魂録 ◆

㈱内田建設 朝礼 平成31年1月23日(水)
テーマ      吉田松陰の遺書

◆  留魂録 (りゅうこんろく)  ◆

おはようございます。本日は、以前にもお話しをしたことのある吉田松陰の『留魂録』についてお話を、してみたいと思います。
『留魂録』とは、獄につながれた吉田松陰が、死を覚悟して己の志を不朽のものにするために門人たちへ宛てた遺書のことを言います。
死の2日前の10月25日に書き始め、26日の夕刻までに書き上げられた全16節約5,000字にも及ぶ長文で、松陰は確実にこの遺書が弟子たちに渡るよう同じものを2通作成していたのです。その1通は遺体を引き取った門弟の飯田正伯らに遺品と共に渡され、写本が作られて門下生の間で回し読みされましたが、いつしか行方がわからなくなってしまったといわれております。しかし、現在、松陰の遺書が伝わるのは、松陰が牢名主の沼崎吉五郎に託されたもう1通が、後に 野村靖 に渡ったからだといわれております。

『留魂録』の冒頭には、〃身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置まし大和魂 〃と辞世の句が綴られています。この身は、たとえ朽ち果てても、魂だけでもこの世に留めて置きたいという松陰の切なる思いが伝わってくる句なのです。

辞世の句に続いて、萩から江戸に送られる際に、孟子の「至誠にして動かざる者は、未だこれあらざるなり」という句を手拭いに縫い付けて江戸に持参し、それを評定所に留め置いたのは、自らの志を示すためであったと言われてまして、私の真心が伝われば自ずと幕府の役人もわかってくれると思い行動してきたが、何も変えることが出来ずに今日に至ったのは自分の徳が薄いために至誠が通じなかったと思うべきであろう。誰も恨むことはない。これまでに、確信してきた所説を披歴し、長州藩を中心として志ある藩で挙兵しようとしたこと、老中、間部詮勝 を要撃しようとしたことを 話したので、獄に入れられたと、投獄された経緯を語っています。兵学師範の家に生まれ、孔孟の教えを実直に守って生きてきた松陰らしい、潔いとも愚直とも思える言動と言えるものであります。
攘夷の勅命に従わず、朝廷の意に反して無断で米国と条約を結んだ幕府に非があり、それは国を危うくする行為でしかない、国を憂える正義は、わが方にある。誠を尽くせば幕府もわかってくれると松陰は考えていたのだと思います。

だが、幕史たちの取り調べは、なおざりで悪意に満ちていました。
彼らは 松陰が苦心して述べた、米国使節団との交渉や、海外渡航の計画などについて一切、調書に記録せず、間部詮勝の要撃についても 松陰が他の者に累が及ぶことを慮って「待ち伏せて諌める〃要諌〃」としたのにもかかわらず、「刺し違えて死ぬつもりであった」と自白を捏造してまで罪を着せてしまいました。

こうして松陰は、死罪は免れないと悟るが、「全ては天地神明が見ておられるところであり、何を惜しむことがあろうか」と語り、短い生涯を振り返って、人の生涯を四季の循環に例え、春に蒔かれた種は、秋に実り冬には人々の糧となり喜びとなる。人の寿命にはそれぞれ違いがあり、その人なりの生涯の四季があるはずだ。「私は30歳で、すでに四季は備わっており私なりに花咲き実をつけているはずだ。」それが、単なる籾殻なのか成熟した栗の実なのかは、私の知るところではない。もし、同志諸君の中に、私の心に感じ、受け継ごうとする人がいるなら、それは すなわち種子が絶えず、毎年実ることと同じで恥じることはない。同志よ、そうしたことをよく考えてほしい」と書き残しました。これが、『留魂録』であります。
『留魂録』によって蒔かれた松陰の志は、幕末の志士たちの心の中で芽吹き、倒幕の大きな原動力となって実を結ぶこととなっていったのです。

どうでしたか、みなさんこの『留魂録』の話を聞いて何を思いましたか?
30歳と言いましたが、実際には29年間の生涯でした。世界の中での日本の在り方を短い生涯を通して考え続けた吉田松陰、信念に散ったこの若き思想家が、上級武士のいる明倫館という藩校ではなく自ら主宰する松下村塾で蒔いた種はその後、教え子たちの中で着実に芽吹き、新政府になった時 この松下村塾から初代内閣総理大臣 伊藤博文を輩出しています。

その後も萩のある 当地山口県から一番多くの総理大臣を出しています。勿論、現在の安倍晋三内閣総理大臣も吉田松陰と同じ長州 現在の山口県 出身であることは、言うまでもありません。 吉田松陰先生のお話をしますと、どうも力が入ってしまい長くなりますが『留魂録』のお話しもなかなか聞ける話ではないと思いますので聞いておいて損はなかったと思います。



Posted by 内田建設 at 09:26│Comments(0)
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