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2019年03月16日

◆おまえはどっちの店員か◆

㈱内田建設 朝礼 平成31年3月15日(金)
               (2012年1月30日PHP研究所資料抜粋) 
テーマ   松下幸之助翁の波乱の人生

◆  おまえはどっちの店員か  ◆

 それでは、昨日 申し上げましたように松下幸之助翁の丁稚小僧だったころのエピソードを紹介させていただきます。自転車店で小僧としての修行を始めて三年目、幸之助13歳のころのことであります。

 幸之助は、〃 一度自分で自転車を売ってみたいものだ 〃と考えるようになっていた。当時の自転車は百円~百五十円で、今日の自動車に匹敵する価格で、客から話があっても、小僧が一人で売り込みにいくなどということはできなかったのでありました。
 そんなある日、本町二丁目の蚊帳問屋から「自転車を買いたいのやが、ちょうど今、主人が店にいるから すぐもってきて見せてくれ」という電話が入ったのです。
 ところがあいにく番頭も店員もみな出払っていて、幸之助しかおりません。主人は「 先様もお急ぎのようだから、おまえとにかくこれを持って行っておいで」と幸之助に命じたのです。幸之助にとっては、好機到来でありましたので自転車の性能を蚊帳問屋の主人に、一生懸命説明いたしました。13歳の子供が熱心に説明するのがよっぽどかわいくみえたのか、主人は「 なかなか熱心な、かわいい ぼんさんやなあ。よし、買うてやろう 」と言ってくれたのです。

「 ありがとうございます 」「 その代わり一割まけとき 」幸之助は、いつも店では一割まけて売っているのを知っておりました。 だから、「 はい、よろしおま、店に帰って主人にそう伝えます 」と意気揚々と引き揚げて報告をしました。

すると、「 あれ一割引いて売ってきました でえ 」当然喜んでくれると思った主人が、渋い顔で言うのです。「 なんでいっぺんに一割も引くんや。商売人というもん はそんなに簡単にまけたらあかん。五分引く話はあっても、いっぺんに一割引く話はあらへん。五分だけ引くともう一度言うてこい 」いくら小僧でもいったん売ると約束してきたあとであります。いまさら話が違いましたとは言いにくいのでした。そういわずにまけてやってくれと、幸之助はシクシク泣き出してしまったのです。
これには主人も面くらって、「 おまえどっちの店員か。しっかりせな あかんやないか 」とたしなめましたが、幸之助は容易に泣きやみませんでした。

そうこうするうちに蚊帳問屋の番頭が「 えらい返事が遅いがまかりまへんか 」と尋ねてきたのです。そこで主人が、「 この子が帰ってきて一割引きにまけてあげてくれといって泣き出しよって、今もどっちの店員かわからんやないかと言うておったところです 」と事情を説明したのです。

番頭からその様子を伝え聞いた蚊帳問屋の主人は、「 なかなか面白い小僧さんやないか、それじゃ、その小僧さんに免じて五分引きで買うてあげよう 」とうとう幸之助は自転車を売ることに成功したのです。
そして、それだけではなく、この話には、おまけがついており、「この小僧さんがいるうちは、自転車はおまえのところから買うてやろう 」となりまして 幸之助は大いに面目を施したのであります。

と、まあ 丁稚時代にこのようなエピソードがございましたので、数あるエピソードの中から、本日は、『 おまえはどっちの店員か 』というお話をしてみました。時代が違う関係で理解できにくい部分もあるかもしれませんがこのあともいくつか松下幸之助さんのエピソードを聞いた後だと、松下幸之助翁の人生哲学がすんなりと受けいれられるのではないのかなと思えます。



Posted by 内田建設 at 18:20│Comments(0)
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