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2022年06月27日

◆ 動じない心を持つために ◆

㈱内田建設 朝礼  令和4年6月27日(月)

     テーマ  荘子の訓話に学ぶ

◆   われ、いまだ木鶏たりえず    ◆

おはようございます。本日は、老子の後学である荘子の流れをくむ列子に学ぶお話で、木鶏の説についてお話をさせていただきます。

私もかつて袋井市消防団はラッパ隊の指導主任をしていた頃に こういったお話をラッパ隊員の前でよく話したものでした。何故かと申し上げますと当時 日本一防火のまちに因みまして 袋井市消防団のラッパ隊というものはラッパ奏法という競技に出場しており 磐周地区13市町村の中で過去9年連続優勝を継続中で その年に優勝すれば 10年連続優勝を成し遂げ、全国自治体消防45周年記念事業に出場、そして天皇・皇后両陛下の前にてオープニングセレモニーとして演奏を披露するというお話でした。 
それゆえに、その前に立ちはだかる10年連続優勝という掲げた目標の大きさに対する その年のラッパ奏法に出場する選手の緊張感というものは並外れたものがございました。
そのような極限の緊張感の中、ラッパ奏法に向かう選手に当日の朝、指導主任挨拶として 話して 聞かせた というお話が、今からお話をする『 われ、いまだ木鶏たりえず 』というお話でした。

この われ、木鶏たりえず と言ったのは、かつて向かうところ敵なしと
謳われた 天下の大横綱 双葉山 の言葉として有名な言葉でしたが、双葉山関は平成の元号を考えたといいわれる陽明学の大家であった 安岡正篤先生から木鶏の説を学んでいた時のお話となります。この訓話も話の中での置き換えとなる訳ですが、原文はこうであります。 

紀省子という闘鶏使いが 王の命令で 軍鶏を訓練することになったというのです。10日して、王が尋ねた。「もう戦えるか」と。「まだまだです むやみにやる気を見せているだけですから」また、10日ほどして王が尋ねると、紀省子は、「 いえ、まだです。ほかの軍鶏の声や姿にいきりたつ状態ですから」さらに、10日して王が尋ねました。「 まだです。相手を睨みつけ、闘志を見せていますから 」 そして、また10日後 王が尋ねると、「 やっとものになってきました。 他の軍鶏が 声をあげてもいっこうに動じません。まるで木彫りの軍鶏のようで、徳が身に付いた状態です。もはや、他の軍鶏ではかなうものはなく、後ろを向いて逃げ出すでしょう。」もう大丈夫だといったのです。 
この木鶏の説を安岡先生から 学んでいた大横綱 双葉山関が69連勝で敗れてしまった時に 新聞記者の友人から『 咲くもよし、桜花 散るもよし桜花 』という 美しい桜の花に喩えた励ましの電報が届いたと言われ、双葉山関あなたは桜の花と一緒で勝った時も美しいが、 たとえ 負けてしまった時でも桜の花と一緒で散り際が大変、美しいですよ。 という慰めの意味をこめられた電報が届きました。
この電報に対して、双葉山関が返信した電報が先程お話をした『 双葉、いまだ 木鶏たりえず』という電報でした。 実は、この二人とも陽明学の大家である安岡正徳先生のお弟子さんであった というお話で このようなやりとりがあったのだそうです。
さて、話を先程の 袋井市消防団ラッパ隊の10年連続優勝のかかった当日に戻しますが、本番前に行う最後の一本の練習が終わった後、先程から申し上げている〝 木鶏の説 ″のお話に私の真心を込めて話させていただいたのです。
そして、会場入りして袋井市消防団の出番がまわってきたその時、近くで火災が発生してしまったため、地元の森町消防団が大きなサイレンを鳴らし出動したのでした。 私は、緊張だけならともかく火災出動の騒ぎと大きなサイレンの音に集中出来ずに失敗してしまうかもしれないという不安がよぎりましたが、結果は、練習以上に良く出来、優勝したのでした。そして、表彰式後 あの火災発生の騒ぎと大きなサイレンの鳴る中で、お前達はよく集中出来たな!
と言葉を掛けたところ 誰一人として火災のサイレンが耳に入っていなかったというのでした。…… そして最後にラッパ隊の指揮者が、本日最後の練習の後木鶏の話を聞いてから、競技が終わるまで 力むこともなく緊張することもなく最後の一本に集中出来たのだと 言われました。そして、最後に内田指導主任の『 木鶏の説 』あれで、選手全員が吹っ切れたと言ってくれました。
みなさんも これから 極度の緊張の中での競技の時など、本日学んだ 木鶏の説の中から何があっても動じない心と姿勢そして無理に肩肘張を張らない自然体を学び受止めていただきたく思います。



Posted by 内田建設 at 17:44│Comments(0)
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